「なかなか寝つけない」「夜中に何度も目が覚める」——そんな悩みを抱えていませんか? 実は、高齢者の約50%が不眠症を経験しており、睡眠不足は疲労だけでなく、転倒リスクや心疾患、認知機能の低下を引き起こす可能性があります。生活習慣を見直すことで改善できることもありますが、最近の研究によると、「筋力トレーニング」が最も効果的な対策かもしれません。
他の運動より筋トレが効果的?
この研究では、60歳以上の2,000人以上のデータを分析し、有酸素性運動(ウォーキングやサイクリング)、バランス運動、柔軟運動などを比較。その結果、「筋トレ」が最も睡眠の質を向上させることが判明しました。
筋トレが睡眠を改善する理由
- ストレスホルモンを減らし、リラックス効果を高める
- 体温調節を助け、自然な睡眠リズムを促す
- 筋肉を強化し、痛みや不快感を軽減する
さらに、筋トレは加齢による筋肉減少(サルコペニア)の予防や、バランス維持、転倒防止にも重要です。
まずは簡単な筋トレから!
必ずしも重いダンベルを持ち上げる必要はありません。壁を使った腕立て伏せ、スクワット、ゴムバンドを使った簡単な運動を週1〜2回行うだけでも効果が期待できます。
総合的なアプローチがカギ
ただし、筋トレだけで不眠が完全に解決するわけではありません。有酸素運動も睡眠の質改善に効果的です。また、スマホを寝る前に控える、寝る時間を一定にする、ストレスを溜めないなど、他の睡眠習慣も大切です。
参考文献:Pakwan Bahalayothin, P. et al. Fam Med Community Health 2025
(文責:立命館大学スポーツ科学部 藤田聡)