今朝、朝食は食べられましたか?生活習慣を整える観点からは、3食の食事の中でも特に朝食は重要です。2019年に農林水産省より報告された「食育白書」によると、日本の成人における朝食欠食率(“週に2〜3日食べる”、あるいは“ほとんど食べない”割合)は女性で約15%、男性で約26%でした。多忙な毎日の中で朝食がほぼ摂れていない方や、ダイエット目的で意図的に朝食を欠食されている方もいるのではないでしょうか?
これまで多くの研究で、朝食を毎日摂取することが肥満予防に関連していることが報告されています。例えば、ある研究では、朝食を摂ることがメタボリックシンドロームや肥満のリスクを低下させることが示されました。朝食を摂ることによって、長時間にわたって食欲を抑制し、適切なエネルギー摂取量を維持することができる可能性があります。
一方で、朝食欠食が肥満のリスクを増加させることも多くの研究グループが報告しています。朝食を抜くと、日中の空腹感が増し、つい余分なお菓子や高カロリーの食品を間食として摂取する傾向があります。これによって、過剰なエネルギー摂取が生じ、1日の総摂取カロリーが朝・昼・晩と3食摂取している場合と比較しても高くなることで、肥満のリスクが高まるのです。
また、朝食摂取による他のメリットとして、代謝の活性化が挙げられます。朝食を摂ることによって、体内時計がリセットされ、エネルギー消費が増加します。これにより、摂取したエネルギーを効率的に消費し、肥満のリスクを低下させることができると考えられているのです。さらに、高たんぱく質(20g程度のたんぱく質)の朝食を摂取することで、就寝時に睡眠を誘発するホルモンの分泌が高まり、睡眠の質を改善することが示唆されています。つまり、朝食を毎日摂取することで、すっきりと朝目覚めることができ、生活のリズムが整うのです。
しかしながら、朝食の摂取が肥満を完全に予防するわけではありません。朝食を摂ること自体が肥満を防ぐための唯一の要因ではなく、3食のバランスの取れた食事摂取と運動習慣の獲得は共に健康増進に重要です。