今日の忙しい仕事環境では、締め切りやミーティング、常に飛び交う通知・連絡に圧倒されがちです。これらのストレスは不安につながり、仕事のパフォーマンスだけでなく、生活全般の質にも影響を与えることがあります。従来、不安障害の治療には抗うつ薬が使用されてきましたが、副作用が課題となっていました。もし、副作用のない、より自然な方法で不安を管理できるとしたらどうでしょうか?
米国国立精神衛生研究所による最新の研究では、「マインドフルネス・ストレス軽減法(MBSR)」が、広く利用されている抗うつ薬エスシタロプラムと同様に、不安症状の軽減に効果的であることが明らかになりました。
マインドフルネスは、呼吸や体の感覚、思考に集中し、”今この瞬間”に意識を向けることでストレスを管理する方法です。この研究では、MBSRが社会不安、パニック障害、全般性不安障害などの治療に薬と同じように役立ちました。
マインドフルネスが不安を抱える方にとって素晴らしい代替手段となる理由は:
- 副作用が少ない:薬を服用した人の79%が頭痛や吐き気、疲労などの副作用を報告したのに対し、マインドフルネスを実践した参加者の副作用の報告はわずか15%でした。
- 効果が実証済み:マインドフルネスのグループと薬を使用したグループの両方が、同様に不安レベルの減少を経験しました。つまり、副作用のないマインドフルネスも薬と同じくらい効果的です。
- 手軽に実践できる:マインドフルネスを始めるのに特別な道具は必要ありません。仕事中に数分間、呼吸に集中するだけでもいいですし、デスクを離れてストレッチをするのも効果的です。
次にストレスを感じたときは、心を落ち着けて仕事に戻るための手段として、マインドフルネスを試してみてください。薬に頼ることなく、不安を管理する手助けになるかもしれません。
参考:FitbitやApple Watchなどのウェアラブルデバイスをお持ちの方は、より簡単にマインドフルネスを体験することができます。
- Fitbitの場合はメニューから”リラックス”を選択し、指示通りに深呼吸を繰り返します。
- Apple Watchの場合は”マインドフルネス”を選択し、メニューから”呼吸”を選びます。どちらの場合も先ずは2分程度から始め、慣れてきたら徐々に時間を延長してみましょう。
参考文献:Hu et al. JAMA Network Open 2024